一人親方の怪我や病気がとても不安…対策とかあるの?

ハウツー

一人親方の職人を守ってくれる保険とは!?

まずはこれ!一人親方なら必ず知っていよう公的な国民健康保険と国民年金

毎日遅くまでの現場作業でとてもお疲れの職人も多いことでしょう。早く終わったら明日に備えて帰れるときには早く帰りましょう。そんな日々毎日体を酷使して頑張っている職人さんには、ふとこのようなことを考えたことはないでしょうか。自分が怪我や病気になってしまったら、働くことができず、収入もなく生活ができない。とても不安でどうすればよいのかと。

そこで制度化されている社会保険制度をまずは整理しましょう。まずは会社従業員として働く職人は、健康保険や厚生年金といった社会保険に加入されているはずですが、一人親方(個人事業主)は国民健康や国民年金に加入することになります。

この社会保険制度の違いを簡単に整理しますと、

一版的な会社従業員の職人の場合には…
健康保険個人事業主ではなく会社従業員として勤める職人が、会社と職人が折半で通常保険料を負担して納付し、主に病気や怪我の際に病院へ通う場合に、原則3割自己負担の受診料や薬代などの出費の支払となる。原則守る家族がいる場合にも、この健康保険で3割自己負担となります。
厚生年金個人事業主ではなく会社従業員として勤める職人が、会社と職人が通常折半で保険料を負担して納付し、主に老後の生活費としての老齢厚生年金が支払われます。国民皆年金として同時に国民年金と厚生年金を納めていることになるので国民年金だけの納付よりも老後の年金受給額は多くなります。
一般的な一人親方(個人事業主)の職人の場合には…
国民健康保険➡会社従業員ではなく個人事業主として働く職人が、所得に応じて住居する市町村から地方税として徴収されて、主に病気や怪我の際に病院へ通う場合に、原則3割自己負担の受診料や薬代などの出費の支払となる。原則守る家族がいる場合にも、この健康保険で原則3割自己負担となります。
国民年金➡会社従業員ではなく個人事業主として働く職人が、日本年金機構(厚生労働省監督機関)に対して所得の多寡に関わらず、物価変動などをもとに決定された一定の納付額を納付し、主に老後の生活費としての老齢基礎年金が支払われます。国民皆年金としての国民年金のみの納付のため、老後の年金受給額は、会社従業員の厚生年金よりは年金受給額が低くなります

急な怪我や病気!一人親方は守られるのか?!

主に国民健康保険と国民年金は治療費軽減や老後の生活費の負担減ということは分かりましたが、急な怪我や病気の場合に今日からでも生活に困る場合に一人親方の職人はどうすればよいのでしょうか?

まずは労災保険。労働者災害補償保険はご存知ですか?

はい、仕事中や通勤中に負傷や病気、死亡等になった場合に、迅速に必要な保険給付を行ってくれる制度ですよね?加入をしていなければ現場に入れない場合もあります。

はい、よくご存じですね。もっといいますと、労災保険は労働者の負傷や疾病等の状態の労働者の社会復帰の促進、労働者遺族の援護等の福祉、生活を守ることを前提とした保険です。

でも、労災保険は一人親方と言った個人事業主は守ってくれませんよね?

はい、一人親方などの個人事業主は正確には会社から雇われた労働者ではないため、個人で労災保険への加入の対象にはなりません

やはり、一人親方となると自分の身は自分で守れということですね。

ちょっと待ってください、確かに自分の身は自分で守ることに変わりませんが、自ら特別加入団体を通じて労災保険に加入すれば仕事中に災害に遭っても急な治療費の負担がなく、休業補償も受けられます

えっ!?本当です。

それだけでなく、障害が残った場合の障害補償給付や死亡した場合には遺族に対して遺族補償給付などが受けられます。一人親方などの職人は特別に労災保険に加入できる個人事業主となります。

一人親方でも労災保険に加入できるですね。どのように加入すればよいのでしょうか?

一般的には○○土建組合や○○事業連合会、○○事業団といった多くの既存の特別加入団体へ加入することになります。しかしながら特別加入団体の中にも様々あり安心できる団体を選ぶことも必要となります。

どうゆうことですか?

はい、基本的には労災保険は国の保険で、各都道府県の労働局長の承認をうけた団体ですので、組合費が高いからと言って手厚く補償されるとは言えません。また、残念ながら名ばかりだけで片手間の団体も少なからずあるため、これらを正直見極めることは難しいので職人仲間の評判なども有益な情報となるのではないでしょうか。

ありがとうございます、早速検討します。

 

一人親方は雇用保険に加入できないの?!

ここで1つ気になる保険があります。それは会社従業員の時では毎月給料から天引きされていた雇用保険についてです。この雇用保険は公的な保険だと思いますが、会社を独立して一人親方の個人事業主になった場合には何か手続きが必要なのでしょうか。そもそも雇用保険でどのようなことが手当されるのでしょうか

雇用保険で給付される主な給付金とは…
・失業の際に生活に困らないように、会社を辞める前の給料の5~8割程の失業手当としての基本手当が基準期間内に支給される。
・厚生労働大臣の指定を受けた教育訓練(建築、土木、設備、施工管理等)を受けた場合にかかった費用の一部が教育訓練給付金として給付される。
・高年齢雇用継続給付金として高齢者の低賃金化分を補ったり、育児休業給付、介護休業給付があります。

具体的な雇用保険の給付内容は分かりましたが、一人親方の個人事業主としての雇用保険についてはどうなるのでしょうか?

この雇用保険は会社従業員の雇用の安定を目的にしている保険のため、自らの目的をもって事業を行う一人親方として、つまりは個人のみの場合には雇用保険に加入はできませんので給付金は給付はされません。

ということは、会社から独立した場合には失業手当は支給されないですよね?

はい、おっしゃる通りです。基本手当はあくまでも失業手当です。業ではない会社からの独立は、収入がなくても基本手当はもらえないということになります。

なるほど…身が引き締まり思いです。

そうですか、頑張りましょう!!

一人親方だから考える公的社会保障制度と民間の保険

国民年金は老後だけのものではない

これまでいろいろと保険について話しましたが、ある程度は理解して頂けましたでしょうか?理解して頂けてたら幸いです。

さて、公的にある社会保障制度は、我々国民の社会生活を安定させる、つまりは命を守るセーフティネットとしてとても有意義な制度であることは間違いないと思います。

特に一人親方は何かあっても会社は守ってはくれません。しっかりと社会保障制度について知ることが必要です。医療保険としての国民健康保険や心身障害の場合の社会福祉、公的扶助の生活保護といったものもあるので知って損をすることはないし、知るべきです。

国民年金は老後だけのものではないことを一人親方や個人事業主には知ってもらいたいと思います。年金を払っても老後の頃にはいくらも貰えない、破たんして制度自体がない、といったことを耳にするかと思いますが、確かに今後年金制度がどのように変わるかは私には分かりませんが、現状での国民年金は以下のような受給制度があります。

国民年金は老後だけのものではない…
障害年金がある怪我や病気で障害等級2級以上を持ってしまった場合に受給できる年金で、現状で月額6万5千円以上の障害基礎年金の受給となり、高校生以下の子どもがいる場合には子どもの加算分も受給できます。等級には3級等といった2級以下までもありますが、2級となると働くことは無理といえる状態です。ちなみに3級以下は1級2級ほど家族などの介助は必要ないが外で働くには制約を受けている状態を指します。
遺族年金があるもし一人親方のあなたが不慮の事故や病気により死んでしまった場合に、高校生以下の子どもや配偶者とともに条件を満たせば遺族基礎年金を受けることができます。現状で子どものみで月額6万5千円以上からの遺族基礎年金の受給となります。

民間の保険にも加入しなければならないのか?

これまでいろいろと公的な保険について分かりましたが、やはり民間の保険にも加入しなければならないのでしょうか?

とても難しい質問ですね。確かに民間の保険にも医療保険や傷害保険、所得補償就業不能保険などがありますが公的な保険をカバーすることの認識で加入することをおすすめします。

公的な保険はとても安心ということですか?

それもあります。例えば国民健康保険には高額療養費というものがあります。支払った医療費が高額の場合に、基準を超えた部分が後から戻ってくる制度ですが、最初から高額な療養費が払えない場合には、限度額適用認定証を利用すれば、窓口では高額療養費の負担額の支払のみですむことになります。

では、民間の保険に加入するメリットとはなんですか?

医療保険で言えば、公的保険対象外の先進医療や差額ベッド代、食費などは民間医療保険でカバーすることができます。

なるほど、民間保険は公的保険を補完する考えでいいんですね。

はい。ただし、雇用保険や労災保険を補完するといった民間保険はないです。ないですが、民間の保険では労災で亡くなった場合以外の死亡や怪我や病気の保障もすることを目的としています。民間の保険を選ぶには、保険金の給付条件も各社条件が違ったり、保険料も一定ではありません。ですから民間の保険を選ぶには、よく調べて確認する必要はあります。

分かりました、ありがとうございます。

コメント