建設業界での転職や社会保険未加入問題…建設キャリアアップシステムとは?

ハウツー

建設業界内で転職する職人事情とは?

独立か…まずは転職か…!?

職人の転職って有りなのか?

建設業界で働き始める理由は人それぞれだと思います。

私が建設業界へのきっかけはアルバイトからでした。改修工事をメインに行う会社で、その中で建設業に携わるいろいろな業種の職人に出会いました。

とびや左官工や管工、塗装工、防水工等々いろいろな職人に出会いました。正直なところ、苦手な監督や職人は確かにいましたが、総合的に考えると嫌な思いは少なく、それ以上にいろいろな職人、社長いわゆる一人親方の話を聞いて、どんな些細なことも有意義に捉えて自分の成長に役立てています。

ある程度の自身の持つ力をもとに、働き先の後押しもあり独立を検討される職人も多いかとは思いますが、少しでも迷いがあるならば、多くの会社の元で手に職を増やすための転職も自分を高めることは有りかと思います。

独立をしてしまえば、後は自分自身でもがくしかありません、そうなると自分はまだやるべきことや学ぶべきことがあるならばぜひ建設業界内での転職も検討してみて下さい。

独立ではなく転職に向いている職人とは?

何かがあれば誰かが守ってくれると考える➡独立すれば会社は守ってくれませんので医療・年金・雇用・労災などの保険は自身で手続きします
税務の知識までは不安で考えられない➡
特に所得税などの確定申告は自分でやるか税理士に任せるかで下手うつと無申告加算税や延滞税が発生します
職場や家族から独立を反対されている➡
反対の理由が経験がまだ浅いや資金操りの目途が立たない
自分自身がだらしないと自覚している➡
時間にルーズ・責任感ない・すぐキレたり・謝罪できないでは独立は早いので今一度転職で1からやり直すことも良い

職人が建設業界内で転職する事情とは?

どのような理由で転職する方が多いのですか?

理由はひとそれぞれ様々ありますが、自分の能力に見合った収入を得たい方が1番多い理由です。

 

やはり、自分の仕事量や能力に見合った収入に疑問を感じるのですね。

はい、そのようです。他にはキャリアアップを目的に、幅広く技術や知識を得るために転職される方もいます。

はいはい、私の知る先輩は原状回復のクリーニングを専門に働いていましたが、内装のクロスの張替を他の会社で学んで独立して成功している方がいます。

高い技術だけでなく、自分に付加価値を付けることは、独立後に学ぶことはなかなか難しいですからね。

その他の理由を挙げるとすればなんでしょうか?

そうですね、あとは人間関係とか、会社の将来に不安があるといった問題…あとは最近ではブラック企業に該当する会社ではないかという理由で転職を決断する人が多いようです。

…そうですか、ブラック企業。

建設業界では不適切な経営を進める会社があって社会問題になっております。

どのような問題があるのですか?

その問題が…

建設業界で問題となる会社が社会問題に!

建設業の問題と国土交通省の方針

建設業でも様々な問題が指摘されています。会社の指示による超過労働問題や多重下請け構造による低賃金不払い問題、社会保険の未加入事業者が多いことなどが問題視されています。

建設業界でも働き方改革が進められいて、国土交通省から労働環境の改善が多く進められるよう本格的に動いています。過重労働のみの改善だけでなく、従業員の社会保険の改善のため、会社側の社会保険加入の法令上の義務違反がないように政策を進めています。

現場で働く職人は、とても真面目、几帳面で実直に仕事をこなしています。このような実直な職人は当然会社や先輩に対して尽くすや義理といった責任感を強く持つ人も多いのではないでしょうか。しかしながら、あまりにも労働環境にマヒをしてしまい肉体的や精神的にもダメになってしまった職人さんもいることは事実です。

私の職人経験上でも、建設業界では忙しい状態に陥ると、とことんその忙しい状態が繰り返され負のスパイラルに入ってしまい、体を壊してしまう人もいました。だからこそ一定の建設業の秩序、多重構造の建設業界の改善性の必要は理解できます。

労働基準法の原則となる労働時間は?

とても忙しいとしても、確か労働時間については法律で決まっていますよね?

おっしゃる通りです。法定の労働時間は休憩を含めながら1日に8時間、1週間40時間を超えて労働させることはいけないことになっているのが基本です。

うーん…具体的に法定労働時間と実際の労働時間を比べると随分と幅がありますね。

そうです、現状の実働労働時間は多いはずですよね。実際は法定時間外に会社に尽くすための拘束時間は、残業時間、そうです、残業代の請求の話になります。

えっ!?ということは今までの拘束時間は法律上は残業時間で残業代と言えるのですか…?

はい、そうです。ですが、勤務時間内外の労働については、会社側での判断や対応が難しいこともあり、日常的に従業員の時間外労働は状態化しているというのが実情です。

私自身も時間外でも頑張ることもあります。正当に評価されたいですね。

 

おっしゃる通りです。これからの建設業、特に現場の職人さんは評価を受けるべきです。

他にはどのような問題が建設業界にあるのでしょうか?

事実上の会社従業員にもかかわらず、会社側から健康保険や厚生年金などの社会保険未加入問題があります。

社会保険未加入問題

社会保険制度には、個人事業主では国民年金や国民健康保険で、会社勤めの労働者には厚生年金や健康保険、雇用保険があります。

ここで確認してもらいたいのが、国民年金や国民健康は個人事業主である自分自身が負担するものですが、会社労働者を守る健康保険や厚生年金はそれぞれ労使折半の支払となり、会社と労働者とで50%ずつ負担することになり、雇用保険料となると会社と労働時間の負担割合は事業内容によりますが、建設業では8割が会社負担となり、2割を労働者の労働賃金からの負担することなります。

そして、ここで問題となるのが、この社会保険料の会社負担が重荷となり、会社勤務の労働者ともいえる従業員を正規の会社従業員として扱わこととはせず、非正規雇用の会社労働者として事実上勤務させては、社会保険料の会社側の負担を逃れるために、故意に労働者を外注扱いなどとして社会保険制度から逃れて経営している会社もあり、法定福利費などを負担しないことによる社会保険未加入問題が社会問題となっています

親方日の丸のもとで真面目に実直に働く職人の無知のスキを突くような問題で、自分では気づかずに実際は労働環境は最悪だったということは、この業界では多く回ってきました。職人によっては、一人で家族全員を食べさせていく人もいることでしょう。少しでも労働環境が悪いのではないかと思うのであれば、転職検討も有りかと思います。先輩や会社への恩もあるかと思いますが、無知で損するのは悲惨すぎます。

転職には必須!?建設キャリアアップシステムと建設業

建設キャリアアップシステムの概要

建設業界の人材不足は深刻となっているようです。職人の多くは高齢化が進んでしまって若年層の割合がとても低くなっています。建設業が継続的に発展するような環境でなければインフラを維持することは不可能です。作る物をたくさん作ったが老朽化した物を直す者が全くいないとなればとても危険だとも考えられます。そこで建設業の担い手不足を真剣に考え、国土交通省と建設業界が一緒になってこの問題に力をいれることになりました。

なぜに若年層の働く職人が持続的されずに現場からいなくなってしまうのでしょうか。きつい・汚い・危険の3Kだからでしょうか。確かに上の項で話した社会保険未加入問題を筆頭に低賃金などといった会社側の待遇が非常に悪いといった理由で辞めてしまうことも多いようですが、職人の技能や経験が正当に評価される仕組みが今までなかったことがあげられます。

建設業は多重構造の会社で取り組まれています。現実問題、現場で働く職人は会社事情で余儀なく転職をされることもあるでしょう。このように将来の不安さが継続的な若年層の雇い入れが難しいこともあげられますが、いざ転職となる際に他の会社への就職アピールとしての技能や経験をどのように説明すればよいのかといった問題ありました。そのような悩み、技能や経験をキャリアデータ(35職種の年数や班長、職長経験など)として蓄積しそのデータを4段階の「能力評価制度」を建設キャリアアップシステムとして建設キャリアアップカードを発行することになりました。

これにより、転職の際にはその評価レベルのもと審査され新しい会社でもキャリアを引き継げることになりました。

建設キャリアアップシステム導入の将来はどのように変わるのか

建設キャリアアップシステムの本格的導入後の建設業の将来はどうなっちゃうのでしょうか?

キャリアデータには技能や経験といった就業履歴だけでなく、社会保険の加入状況といったものまでもデータとして蓄積されるため、会社側も採用の際の評価や事務軽減につながります。

会社側にもメリットとなるのですね?

はい、それと職人さんの技能者登録についてだけでなく、会社側の事業者登録もあり、公共工事などの入札受注が多い会社は登録検討は必須かと思います。

この制度を利用しない職人や会社は、今後、どのようなことが考えられるのでしょうか?

そうですね…職人さんが現場に向かう際に、このキャリアアップカードがないと現場に入れず、カードリーダを通さなければ仕事ができないことが考えられます。カードには就業情報も蓄積されるからです。また、会社側としては社会保険加入状況をあやふやにはできません。より一層の労働状況を整理し企業体制の見える化を進めなければ元請などの取引先との信頼関係の問題にもなります。

職人側には待遇改善の大きなメリットですね。

建設キャリアアップシステムのポイント

職人の経験や能力が4段階で評価される➡転職しやすくキャリアアップしやすい
会社の経営体制の改善が行われて職人の処遇が改善される➡職人の社会保険未加入問題が改善されやすくなる
会社は事務作業の負担が減る➡建設業退職金共済制度にも連携で事務軽減
会社は導入により公共事業はもちろんのこと対外的の営業アピールとなる➡ビジネスチャンスに繋がる

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