そもそもファクタリングとは?
一人親方は給料制ではありません
従業員の頃には、現場で使用する道具や材料などは会社が用意をしてくれていたり、給料日になれば口座にお金が振り込まれたりと全く資金繰りには困りませんでした。
しかし、個人事業主となると日々資金繰りについて頭の中で考えるようになります。
100万円の仕事を終えた後に、支払いが半年先の場合に、次の仕事を行なうのに40万円の人件費や材料費など掛かる場合には、それらの費用は自らが立て替えなければなりません。
つまり、このように一人親方、個人事業主となれば、自身の責任が当然に重くなり、会社従業員の頃には無かった経営者としての自覚がとても必要となってきます。
ちなみに、このような支払いが半年先となる元請などに対して有する回収債権を売掛金と言います。
ファクタリングを利用してすぐに現金化
ファクタリングは融資ではない
このようにファクタリングは相手に持つ売掛金債権を支払期日前に現金化することなので、銀行などで融資を受けるものではありません。
簡単に言えばまだ支払ってもらってない報酬分を期日前に現金化するということなので、資金調達のためにお金を借りて借金をするものではありません。
したがって借金などの金融機関などから融資を受けるには審査に時間がかかり、融資を受けられない可能性もありますが、ファクタリングは融資のように審査に時間がかからず、現金化までの時間がスムーズなのが特徴となります。
融資は負債である借金なので、審査には経営状態が大きく審査されますが、ファクタリングは支払先の取引相手先の経営状態が審査されるため、自らの経営状態はほぼ関係ないことがあげられます。
建設業の下請債権保全支援事業(令和4年3月末まで延長)
下請け構造である建設業界では資金繰りが重要で、資金調達が事業の運命を分けることもあります。
そもそも建設業界での契約となる請負契約ですが、この契約は民法上では、工事の完成を約束し、完成後に引渡すことを条件とする契約であり、つまりは新築であれば完成後の新築建物と引き換えに工事代金を受領するのが原則です。
ですから下請けへの支払は、工事終了後が2~3カ月後以降となるのが通常ではないでしょうか。
このような仕事の完成後に入金までの期間があるのが建設業では当たり前と考えられます。そして、そのような現状を考えれば、このファクタリングによる資金調達は、入金までの期間がある建設業にとっては、とても有意義な資金調達方法と考えられます。
そこで国土交通省ではこの建設業の特有の状況を鑑みて、下請債権保全支援事業(債権支払保証事業)を行っています。
下請会社などがファクタリングを利用しやすいように支払う保証料に対して助成をしたり、元請会社の倒産などファクタリング会社が損失した場合にも一定額まで補償するという事業です。
取引先が倒産しても確実に工事代金の支払いを受けたいときは活用すべきでしょう。
ファクタリングを利用する際に知っておきたいことなど
ファクタリングの契約にあたっては償還請求権の有無の確認は重要
売掛金が、単純に取引先によるうっかりミスでの支払い忘れといった場合などのビジネス企業同士の取引、さらに言えば中小零細企業間であれば、このような支払い忘れはいつ起きてもおかしくありません。ただ、このような単純ミスのような場合には、電話連絡やメールやり取りだけで解決は可能です。
しかし問題は、支払う相手先の資金繰りが思うようにいかないといった経営状態も悪くて、売掛金が支払えなくなってしまうといった取引先が倒産してしまう場合も少なからずあったりする問題があります。
そのような場合にファクタリング会社が売掛債権を買い取った後に、取引先が倒産をしても一度現金化をした売掛金を返金を求めることはあるのでしょうか。
答えは、契約上の償還請求権の有無で変わります。償還請求権がないような場合には、一度現金化されれば、たとえ取引先が倒産しても返金を求めることはありません。
このような償還請求権がない場合には、とても売掛債権の未回収リスクの回避としても有意義に利用することができます。
その分、売掛先である取引先の経営の状態が重要な審査の対象となります。
取引先の経営状態の審査が重要ではありますが、逆をいえば売掛先の取引先の経営状態などの信用力が高ければ、確実に売掛金をファクタリングによって手元に現金化することができます。
極端のことをいえば、ファクタリングは借金ではないので利用する個人事業主等の多少信用力が低くても契約ができるので、売掛金を即現金化することは可能となります。このあたりは融資やクレジットカード契約の際の契約者の信用性の必要性とは考え方が異なります。
そのような有意義なファクタリングでも、契約の際に重要となる償還請求権の有無の確認は絶対に必要ですので注意しましょう。
この償還請求権があるなしの場合に、償還請求権があると、売掛先が倒産した場合にファクタリング会社が支払った売掛金を返してくださいという契約となってしまうため、とても注意が必要です。
特に貸金業にあたるような違法性があるようなファクタリング会社もありますので、この償還請求権の有無については、契約する際の時には特に慎重に確認するべき事項でしょう。
2社間ファクタリングと3社間ファクタリングとは
償還請求権の有無だとか、貸金業の登録がなく違法性のあたるようなファクタリング会社があると解説しましたが、これはファクタリングの契約については、2つの契約形式があり、2社間でのファクタリングと3社間でのファクタリングとがあり、それぞれ契約内容、方法が全く違うファクタリング内容となるため、しっかりと理解して失敗せずに契約をすることが必要となります。
ではこの2つのファクタリング契約の内容とは一体何が違うのか、言葉通りに説明すると2社間で行う契約と3社間で行う契約なのかの違いになります。
さらにかみ砕いていうと、ファクタリング契約をするのに自身とファクタリング会社との2社間契約か、自身とファクタリング会社と取引先との3社間契約かの違いとなります。
2社間でのファクタリング契約では、取引先とのファクタリングを行なうことについての承諾等の直接的な契約は無く、自身とファクタリング会社間で契約が成立するため、ファクタリング契約をしていることを取引先に知らせず契約ができ、単純に自身の資金繰り事情を取引先に知られることもありません。なお、2社間でのファクタリング契約では、売掛代金となる債権の支払が取引先からあった時点で、自身からファクタリング会社へ振込むことが通常の契約内容です。
ですから通常の2社間でのファクタリング契約は取引先に対しての承諾等が無く、ファクタリング会社の未回収リスクが高いため、手数料が高めです。そして通常の2社間でのファクタリングでは先ほどの償還請求権がなく、即現金化ができる場合もありますが、貸金業の登録もなく、償還請求権を求めてくる問題のあるファクタリング会社もあるので注意が必要です。
次に3社間でのファクタリング契約についてです。
取引先にファクタリングを行うことの承諾等を求めて、自身とファクタリング会社と取引先とで契約するのが3社間のファクタリング契約となります。
つまりは売掛先である取引先の承諾等を受けているために、2社間でのファクタリング契約と違い支払期日が到来すると、直接取引先からファクタリング会社へ支払われることになります。
ファクタリング会社にとっては2社間でのファクタリング契約より、3社間で取引先からの承諾等を受けている分、取引先の経営状態の審査も十分に行うため、未回収リスクも減るので、ファクタリング契約をする際の手数料は2社間でのファクタリング契約をするより手数料が安くなることが一般的です。
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