起業独立にあたってのお金の問題
創業時に検討する融資に関すること
あなたは起業独立の際にいくらかかるかといった計画性はありますか?
経験を積み重ねて自信も十分な職人が、覚悟を決めて起業独立することは本当に素晴らしいことです。
元職人の私は別の道で勝負をすることになりましたが、職人が今持つ力で起業独立して勝負をしたい気持ちはとても分かります。
そんななか、起業独立を検討する上でとても重要な問題はお金ではありませんか。
創業を決意して資金も潤沢でお金の問題もなく起業独立を果たして、自分の持つ力や考えを十分に発揮して、順風満帆に稼げれば問題はないかもしれません。
ですが、一般的に起業独立にあたっては、お金についての問題は最重要課題で計画性を持って行動することが必要ではないでしょうか。
稀に計画性がなく、最初から稼げている社長さんもいますが…ここは堅実に行きたいものです。
現実問題として、本当に稼ぎ続けることができるのか、道具代や材料代などの経費の資金繰りが十分か、創業時の無収入な状態でのしばらくの間の生活費は大丈夫か…等々と言ったことで悩まれるのが一般的ではないでしょうか。
このような条件を踏まえて起業独立の際にお金の問題について計画をしなければなりません。
もっとも一番いいのが、自己資金のみで起業独立できればよいのでしょうが、いざ開業準備となればなにかと経費が掛かります。
いろいろと計画性を持って考えれば考えるほどお金が必要だと気付くことでしょう。
…広告費はいくら?
…無収入の期間の生活費はどうする?
…車や道具は揃っているのか設備費は大丈夫か?
等々と問題は山積みです。
そもそも一人親方の職人にお金を貸してくれるのか?
一人親方で開業を目指すのに、お金が足りない場合に貸してくれるところはあるのでしょうか。
自己資金が足らずに親族や友人など知り合いから借りることもあるかもしれませんが、一人親方の職人でもお金を調達することは可能です。
むしろ開業準備時に借りておかなければ逆に損したといったこともあります。
ではどのような資金調達があるのでしょうか。
①日本政策金融公庫から借りる…法律によって国が100%出資している政府金融機関で国民生活(創業支援,教育ローン等)中小企業、農林水産業に対して資金的な貸付をする
②民間の金融機関から借りる…メガバンク、地銀、信金などあるなかでメガバンクから個人事業主への貸付はほぼ断れるために主に信用金庫や信用組合から貸付を受けることが標準的
③各自治体にある補助金や助成金等の支援制度を利用する…各自治体では個人事業主等に対して事業支援を行っているが予算上の問題もあり常に自治体の情報にアンテナを張らないといざ開業準備となっても支援終了をしている場合があります
④クラウドファンディングなど支援者から資金を集める…その名の通りでクラウド(=群衆)からファンディング(=資金調達)を行ないインターネットを通しての資金調達であるが一人親方には関係がない資金調達かもです。
日本政策金融公庫とは?
一人親方が日本政策金融公庫から開業資金を借りるメリットとは?
日本政策金融公庫は、国が100%出資している金融機関であることは分かりましたが具体的に融資手続きを行うことメリットはどのようなものがあるのでしょうか。
はい、分かりました。でもその前に話しておきたいことがあります。
どうぞ、どうぞ!
ありがとうございます。まず、日本政策金融公庫の業務の一つである一人親方などの個人事業主に対して融資することがあげられますが、どうして融資を行うのでしょうか?
えっーと。それは返済の際の金利を受けて営利を受けることでしょうか。
おっしゃる通りです。日本政策金融公庫は営利を目的とする株式会社です。できることなら多くの個人事業主にお金を融資して金利から営利を受けたいのが筋です。
では、日本政策金融公庫はお金を融資したくて、したくてしょうがないといことですか?
そうなんです。融資をすればするほど営利を受けることになります。ただ日本政策金融公庫法といった法律に基づく政府出資の会社でありますので、通常の株式会社とは似て非なりとなります。
…と言いますと?
はい、日本政策金融公庫の融資は民間の金融機関の融資に比べると低金利で借りられるメリットがあります。
低金利ということは営利が少なく儲けが少ないということですね?
そうです、そこが通常の株式会社とは違います。政府出資の株式会社ですから、幅広く多くの事業主に融資を行って事業を応援することが目的の一つであります。
なるほど、そういうことで低金利なのですね。では、その他のメリットにはどのようなことがありますか?
次のメリットはなんといっても無担保・無保証で融資を受けることが可能です。民間の金融機関からの融資となると融資を受けるのに不動産や株などの担保を要求されたり、人質となる保証人などが求められるのが当たり前です。そんな当たり前の中で無担保・無保証での融資は最大のメリットといえるのではないでしょうか。
さすが政府100%出資といったところですね。
他のメリットは民間の金融機関の返済期間より長く余裕を持ってでの返済が可能だったり、その返済が滞りなく行われていれば信用性も上がり民間からの融資も受けやすくなります。
ぜひとも活用したいところですね。
どのような手続きで融資が行われるのか?
では、日本政策金融公庫から融資を受ける手順はどのように進むのでしょうか。手続き自体の流れは以下のようになります。
①相談や書類を提出して申込みをします(借入申込書や創業計画書など)
⇩
②公庫職員との対面や電話での審査面談(融資金をどのように利用するのかや事業の計画性が現実的かなど実質的な審査質問)
⇩
③契約手続き(審査が合格ならば借用証書など必要書類に記入)
⇩
④口座入金
さて、これで簡単に融資成功!
……と行けばよいのですが、融資申し込みの際の借入申込書や創業計画書といったものを提出しますが、これがなかなか厄介なものです。
当然に貸す側の日本政策金融公庫も行き当たりバッタリでお金を貸すことはありえません。公庫は本当に、この人に融資してよいのかを冷静に判断を行います。
例えばどうでしょう。
あなたが個人事業主に融資する立場になりました、その場合に以下の2名があなたの元に創業融資を求めてきましたどちらに融資しますか…?
2人目…起業独立後は融資も受けることなく事業を進めていたが資金繰りのたのもとに融資を求めて来た人
まずは開業初年度に向けてしっかりと計画した人、つまりは1人目の人が公庫から融資を受けやすいこととなります。
そうですよね、2人目の人は、なんとなく収入も見込めるし、食べて行けるから融資は必要がなく事業をいままで続けていたと考えられることができていたが、でも実は今回資金繰りに困ってしまって融資を求めて来たとなれば公庫担当者も融資は考えにくいのではないでしょうか、つまりは結局のところ実績が乏しい2人目の人に対しては公庫は貸しにくいのではないでしょうか(実際に創業2期目以降には創業融資制度は利用できません)。
では、そのような審査基準のなかで受付時に融資の際の申し込み手続きに重要となる提出書類の借入申込書や創業計画書はどのようなものかを簡単に説明します。
借入申込書について…
①お申込金額記入について…空欄はNG!そもそも審査できませんので計画性のある妥当金額を記入
②お借入希望日について…あくまでも希望日で入金日の指定ではありませんが手続きから入金までは1カ月はかかります
③返済期間や据置期間について…返済については運転資金が約5年計画で設備資金は約10年計画で返済までの据置期間の目安は3~6カ月程度
④資金使途や申込の経緯について…運転資金と設備資金の内訳はおおよそでOK!で経緯は当てはまるものに○をつければOK!
⑤担保や保証について…融資を受ける不動産担保や連帯保証人の保証を記入
①創業の動機について…創業のきっかけや今までの経験や事業の特徴を記入して事業の見通しについても記入する重要な記入欄なので簡単に終らせる記入はNG!
②取扱商品・サービスについて…あなたが売るものを記入するが同業他社を圧倒するようなインパクトのある強みをもって記入
③取引先・取引関係等について…元請から取引ならば元請先企業名を記入して個人相手の場合の取引は一般個人と記入してそれぞれのシェアの予定を記入し外注先についても企業名や手伝ってくれる人の個人事業主の名前を記入してシェアの予定を記入
④お借入の状況について…嘘での未記入はNG!バレますのでキャッシングや車購入や住宅ローン状況についてしっかりと記入で繰り返しますが嘘はNGというか完全にOUT!!
⑤必要な資金と調達方法について…必要な融資受ける根拠を記入するための重要な欄ですし自己資金が融資希望額の10分の1に満たなければそもそも融資申請ができません
⑥事業の見通しについて…返すための具体的な見通しもなくてただ単に生活費を補うための理由だけでは融資は難しいので具体的に月平均売上や経費など具体的な計画する金額を記入して説明できるようにすること
日本政策金融公庫からの融資NGの理由とは?
上のように起業独立する際に日本政策金融公庫の例をあげて説明しましたが、残念ながら全員が借りられるわけではありません。
元々の公庫の目的は日本経済を活性化させることや雇用を創出するなどの目的により、個人事業主や中小企業に対して低金利や支払猶予をして融資を行っています。
ですが問題の本質はそこではなく、なによりも100%の政府による出資が行われる株式会社であることを忘れていけません。
つまり、逆をいえば税金に守られた株式会社とも考えられます。
このような状況を鑑みて公庫は日本経済のために融資をしなければいけませんが、借り側からすれば借りやすいものですがそれが貸し倒れてしまい、不良債権となれば税金でなんとかしなければいけません。
このような状況があるため、民間金融機関よりも融資がしやすくとも最低限の条件もあるため融資NGになることもあります。
①信用情報にキズがある…公庫は指定情報機関でクレジットやローンについての情報を調べることができ、直近の自己破産はNGだし支払いの遅延が多すぎるのもNG。
②お金についてルーズすぎる…公庫は直近6ヶ月分の通帳のコピーの提出を求めてきます。通帳内の支払履歴で家賃や水道光熱費を定期的にきちんとしているのかを調べます。ちなみに融資を受けてこれから創業するのに近々に住宅ローンを組むなどの借金をするのもNG。
③自己資金が無さすぎる…公庫から融資を受けるには、借りる額の10分の1以上と決められているが実務的には3分の1以上が必要で、これらの自己資金を計画的に貯めていたかを確認します。ですから家族などから創業資金をもらった場合での資金を自己資金として扱った場合には評価が低くNGになる場合もありますので、しっかりとした説明や計画が必要です。
④起業独立する職種の経験がない…自信の持つ腕前での起業独立は評価は高いですが、職人が一念発起してラーメン屋などの飲食店を修行なく創業する場合はNGの可能性が高く、自己資金の多さでのカバーで対応する必要があります。
⑤自信が無さすぎる…書類審査の後には公庫担当者と面談を行います。この時に、あまりにも担当者を不安にさせてしまう態度、つまりは落ち着きがないや話をする態度でないなど非常識すぎる対応や創業職種についてあまりにも素人のような受け答えをしたり、融資返済にあたってのリスクヘッジがあまりにも無さすぎる言動は、NGとなります。
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