稼いで幸せでいますか?!
起業独立後の職人一人親方の現実とは?
稼ぎ始めたけど…実際はしんどい。
独立を果たしたある先輩職人さんの話。
「もう体がしんどい…。」のひと言。
この先輩は、私自身が現場の人間として働き始めてからの最初の頃からお世話になっている先輩です。
元請からの信頼もあり、個人事業主としての一人親方業はとても順調でした。
そんな先輩が急に「もう体がしんどい…。」とひと言漏らしたことで、私はショックを受けました。
…あんなに順調に元請からも仕事をもらい幸せそうなはずなのに、一体なにがあったんだろう。
そんな弱音を吐いた先輩にいろいろと話をするきっかけがあり、聞くことができました。
収入は2倍以上も増えたけど…。
先輩は根っからの明るさで私に話しかけるも、どこか昔の先輩ではありませんでした。
当然に一人親方としての責任感や孤独感はあるのでしょうが、何とも言えない表情で明るさとは反対に、もの凄い疲れ切った表情をみせました。
そこで私はあまりにも疲弊した先輩の姿に驚き、一体何があったのかとすぐさま直球に先輩にこう聞きました。
「先輩、どうしたんですか?かなり疲れてますよね?私には分かります。」
すると先輩はまっすぐ目を見開いて私にこう言いました。
「…正直こんなに独立が大変とは思わなかった。収入自体は2倍以上で多くて45万円近く稼ぐことは出来たが365日休みなし。でも、これでは稼いだ金で遊ぶ暇もない。」
この先輩の現実的な悩みを聞いてとてもよく分かりました。先輩は収入が増えたが、結局元請からの指示通りの駒使いに過ぎず、普通に元請から常用で扱われている従業員のような扱いを受けていただけで、そのような状況の中、すべての仕事を自分で抱え込みこなしている状況とのことでした。
稼ぐには経営の判断が必要だ!
そのような先輩を見て聞いて思わず先輩にこう言いました。
「先輩、このままでは体が潰れます。私が手伝いましょうか?」と、すると先輩は目を大きく開いて、前掛かりになって、間髪入れずに私にこう言いました。
「その手があったか、何も自分ひとりが毎日現場に出る必要も無いな。」
この時、先輩も私も気づきました。
仕事は自分自身でこなすのではなく、いかに人を使って生産性を上げて仕事を効率化することが重要であることが分かりました。
そうです、仕事の生産性や効率化を上げるといった経営者としての考えを持って、事業を続けて行くことが今後は必要ということです。
お金が必要か?人が必要か?
仕事を他人に任せることとは!?
起業独立直後にアルバイト一人を雇うのは経営的に厳しいかもしれません。ですが、横のつながりである仲間を外注という形で仕事を単発的に頼むことは可能ではないでしょうか。
どうしても自分でしかできない仕事は自分で行い、採算が取れるのであれば外注に任せてしまいましょう。
そうです、助けてくれる外注は人の資産となり、肉体労働をしてくれる資産です。ただのお金には肉体がありませんので、お金は肉体労働をしない資産と言えます。
先の先輩のように、お金ばかりの資産を増やすことは経営的にも不利となる場合もあります。
このように肉体労働をしてくれる資産である外注をうまく使うことにより、自分の時間を増やして営業活動をうまく回すようにしましょう。
起業独立後は一も二にも集客が必要です。
はっきり言うと、現状のままでの元請からの仕事だけでは将来に向けて事業が成長することは期待できません。経営学的には現状維持は衰退をあらわします。
ですから自分の時間が取れれば取れるほどよく、その時間を事業運営に費やすことが必要です。つまりはマーケティングに時間を費やすのです。
当然に自分自身の休養を取ることはもちろんのことですが、空いた時間を新たな顧客の開拓のマーケティングに費やす時間を持つことも重要なのです。
一人親方から経営者としての判断とは!?
以降を先輩は、その気前の良さと明るさで、以前より広がっていた横のつながりを利用して、仕事を外注化させていくようになりました。
仕事は仕事を生む。
その後先輩は、自らの営業活動で仕事を増やすだけでなく、横のつながりである仲間からの仕事の紹介も受け、雪だるま式に売り上げを伸ばして事業を拡大させることができました。
今では法人化、つまり株式会社として従業員を抱える社長さんとして成長しています。
これは、人はほんの少しの気づきだけで、将来大きく成長するという良い例ではないでしょうか。
一人親方としてがむしゃらに仕事をこなして体を壊しては元も子もありません。そして事業の現状維持は衰退です。
ほんの少しで良いので、目の前の仕事ばかりに目を向けるのでなく、少し距離を置いて自分の事業を俯瞰してみることも大切ではないでしょうか。
それが経営です。
経営によって事業は拡大します。
さらに俯瞰してよく見ると、いかに集客が大事だどいうことが分かってくるかとも思います。
それは人の資産を増やして外注化し、自らは営業に目を向ける。それができれば格段に事業は成長するといえます。
確かに何も気にせずに起業独立して順風満帆の事業運営もあるかもしれません。しかしながら一般的には起業独立は試練の始まりです。
今後より一層の困難な壁にもぶつかるかもしれません。そして、それは覚悟はしていたものよりはるかに想像を超える困難なものかもしれません。
そしたらそれを耐え抜く力を持ちましょう。持たなければいけません。
乗り越えていきましょう、経営は楽しいものなのですから。
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