都市部の駐車場附置義務とマンション財政(平成28年度現在)
東京の駐車場整備地区等での新築時のマンションでは、駐車場附置義務により駐車施設を設置しなければなりません。
東京都駐車場条例により、非特定用途である共同住宅(マンション)は、床面積に対して区部では350m2に1台、市部では300m2に1台と附置台数義務が原則決められています(各自治体の条例を要確認)。
限られた敷地の中に建てられたマンション。
床面積に対する駐車場附置義務。
この条件のもとに設置されたマンション内の駐車場ですが、近年の交通の便の良さや高齢世帯の増加による車離れが進み、駐車台数が減少して空駐車場が増えてしまい大きな問題となっています。
まず、マンション内に設置される駐車場には以下のものがあります。
①平置き駐車場
②自走式立体駐車場
③機械式駐車場(昇降式、パズル式、タワー式)
この3つの構造の駐車場で共通する問題として、空駐車場が増えてしまった場合には、駐車場収入を管理組合での管理費収入や修繕積立金収入としていた場合、組合財政を見直さなければなりません。
駐車場使用料の収入が減ったことにより、値上げを決定し、近傍駐車場の賃料より、値上ってしまっては元も子もありません。
また、立体駐車場や機械式駐車場自体の維持管理にも大きな費用がかかります。
管理費、修繕積立金とは別に、駐車場の維持管理のための別会計を計画しなければなりません。
機械式駐車場の維持管理
機械式駐車場の耐用年数は減価償却資産として15年と定められていますが、
一般的な機械式駐車場の装置自体の全面的な取替えは、約25年程度です。
これに合わせて管理組合としては、機械式駐車場の維持管理を行うことになります。
しかし、近年の居住者の高齢化や交通状況の利便性が向上し、車離れが増加しています。
当初試算していた機械式駐車場のための修繕費が貯蓄できず、維持管理が難しい状況となる管理組合が上記で述べた通り、多く見られます。
また、機械式駐車場は日々の保守管理費も当然にかかります。
5年に1回の程度の塗装工事。
安全装置の修繕、取替で5年程度。
昇降装置は10年程度。
排水ポンプは10年程度で取替えとなります。
このように、費用が多大にかかり組合資金の圧迫になってしまいかねません。
当然ながらメンテナンスには、安全が最優先ですが、経過年数、故障状況を的確に把握して、点検回数等を含めて保守費用の見直しも必要でしょう。
多大な維持管理費用がかかる機械式駐車場。
見直しが行われる管理組合が少ない状況です。
コスト削減の余地も多くあり、専門家の意見を取り得るなどして、将来に向けての計画を立てて頂きたいと思います。